愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

79通目、おーなり由子さん

その名前を見ると、素敵な切なさに包まれるということに、ごく最近気がつきました。

 

おーなり由子さんというひとの本を初めて見つけたのは、高校生のとき。

市の図書館のマンガコーナーにあった「てのひら童話」につよく惹かれたのだけど、男子高校生が手にするものではなかろうと、すなおに言えば恥ずかしがって一度はあきらめたものの、その後ちょうどあのひととおーなり由子さんについて語る機会があって、勧めてもらうことでついにぼくはその本を借りることに成功しました。

それがおーなり由子さんとの出会いでした。

 

てのひら童話をぼくはとても気に入ってしまって、ほかの本も図書館や本屋さんで探して読みました。図書館で借りたてのひら童話も、すべて購入して手元に揃えました。いちばん好きだったてのひら童話3は、センター試験の日にお守りに持って行ったほどです。

 

ときに癒され、ときに好きなひとへのプレゼントに選んできたその作者の本たち。

それをほとんど5年ぶりに探すにあたって、単なる時間の経過を超えた懐かしさと、切なさが、ぼくの心に湧いて来たのでした。

 

ぼくにとっての、あのひととぼくの連結点を象徴する存在が、もしかしたらおーなり由子さんだったのかもしれない。

 

やさしい水彩の絵と、区切りがあいまいに続いていくやわらかい文章とが、とても好きでした。仕事のなかに「世間」を見てきたぼくを、すこしだけ、ぼく自身の原点であったはずの場所に引き戻す力が、おーなりさんの本にはあるように思えました。

 

おーなり由子さんの本を読む探しながら。

 

無事に、その本は見つかりました。

 

「赤ちゃんが笑うから。」

 

ぼくが最後に買ったおーなりさんの本もこれでした。

そのときと同じ感情で、あるいはすこし異なる感情で、ぼくはまたその本を買いました。

 

あのひとの子どもが元気に育つといいと思います。

子育ての大変さのなかでも、わが子がいることの素晴らしさをいつも感じられたらいいと思います。

 

そんな、

あの頃思い描いたのとはちがう、新しい切なさのなかで、ぼくはこの本といくつかのお祝いの品を、近々贈ろうと思っています。