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愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

69通目、夫のちんぽが入らない

妻へ

 

夫婦の絆に、セックスは重要な要素だとぼくは思っています。ぼくがそう思っていると、ぼくのあなたへの欲望の仕方から、あなたも感じていることでしょう。

 

ここ数ヶ月で言うなら、あなたのコンプレックスそのものである、あなたの体のある部分へのコンタクトが、あなたにこれほど官能的な幸福を与えるものだとわかったのはひとつの発見でした。身体は心とつながっているということを、あらためて思うものでもありました。

 

夫婦は新しくお互いを発見するということをできるだけ長く深く続けていくのがよいと思うし、そのためにセックスは重要な要素でありえます。

 

そんな思想のもと、だから「夫のちんぽが入らない」はタイトルから衝撃的でした。

そして、一見出オチ感もあるタイトルをはるかに凌駕する内容。

夫婦の在り方という難題を、何度も何度もつきつけるその筆圧に、ぼくはただ圧倒されるのでした。

 

 夫婦として日常を過ごす描写の合間、ことあるごとに挿入される「ちんぽはまだ入らない」という文句。

夫のちんぽは入らないのに、ほかの男性のちんぽは入ってしまう不思議。

夫婦でのセックスや子づくりは諦める一方、夫婦は信頼関係を増していく。互いの理解を深めていく。

 

そんなふたりの様子に、ぼくは心打たれました。

夫婦というのは、おそらく、定型的なパターンで括れるものなどないのでしょうね。

どのペアをとってみても、そこに固有の在り方をしてしまう。ぼくたちはつい「典型的な幸福」というものに憧れを持ってしまうけれど、少なくとも夫婦という形態においては、モデルとしての幸福な像というのはありえないのだろうと思います。

 

ちんぽが入らなくても互いを信頼し幸福に過ごす夫婦があります。

 

かたや、ちんぽは入るけれど、葛藤を持ちながら、それでもあなたを幸福せしめたいと欲望するぼくという人間があります。

ぼくはぼくの葛藤ごと、あなたと婚姻している。そう聞いたなら、あなたはきっと哀しむのでしょうね。