愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

62通目、だが断る

あなた

自分はこんなに頑張ってるのに、なんて言うつもりはないのだけど、夫婦が夫婦らしくいられるための努力をぼくはぼくなりにしているつもりでした。

うすうす、あなたの舌がぼくの舌の動きに応えないというのは感じていたことでした。
あなたが、その行為を好きでないと正直に言ったとき、ふたつの思いが去来しました。

ぼくたちは、付き合ってもうすぐで11年になるけど、まだわかりあうことができる。
まだわかっていない部分が互いの裡にあり、少しコミュニケーションの角度を変えるだけで、それが一間に浮き彫りになる。
それを妨げるのは、お互いをわかっているというお互いの誤解なのではないかと。

くしくも、新しくあなたと出会うというコンセプトは、こんなところでも間違っていないと証明されたような感覚です。

一方もう少しだけ正直に話すなら、小さな悲しみがあったことは事実です。
それが、一種の拒否であったことに疑いをはさむことはできません。
10年を経ての新しい拒否に、自分の筋肉の強張りを感じます。体と表情が自由さを失って、あなたの前にぼくは恥ずかしいうろたえをさらけるしかありませんでした。

こういう焦燥のようなものが、たしか恋愛にはつきものだったようにも思います。
ぼくたちの慣れた愛情に、この出来事がわずかに恋らしさを取り戻すのでしょうか。