愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

54通目、強くてニューゲーム

妻へ

北海道へお忍び旅行という、ぼくにしては大胆な行動を終えた直後、選ぶはずだったひとを選べなかった無力感に、そして今も残るあのひとへの郷愁に、ぼくは打ちひしがれていました。決着がつくかと思った思考は、「ふりだしに戻る」だったと言いました。

あれから何週間か経った今は。

不思議なことに、波立った感情はわずかに落ち着きを取り戻し、あなたと子どもへの愛情が再び胸を満たしている感覚です。
あなたと、わが子を、守っていきたいと思っています。

強くてニューゲーム。

そんなことを言われても、あなたはわからないでしょう。ぼくが小学生の頃にどハマりしていた、クロノトリガーというゲームに、一度全クリしたあとに、そのままのレベルで最初からスタートできるというシステムがありました。それが強くてニューゲーム。楽勝で進んでいけることに、爽快感があるものでした。

ぼくは、たしかにふりだしに戻っただけだと思います。
あのひとへの信頼や憧れを、なくせるはずはありません。あのひとと歩めたかもしれないパラレルの現在を、今日も夢想したりします。

思考は繰り返す。
だけど、その繰り返し方のバランスは、少しずつ、あなたと、あなたとともに築く家族への思いに、寄っていくのかもしれません。
感情のグラフは、揺らめきながら右側へ進んだあと、一定のスパンで原点Oに戻り、前回よりほんの少し上方をまた揺らめいていく。
そんなふうにして年輪のように重ねられる感情の線グラフが、あなたとの絆になっていくようにも思います。

ほんの少しだけ、強くてニューゲーム。

そうできたらいいなと思います。