愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

48通目、あなたが言ったほんとのことと、僕が言った嘘のこと

妻へ

明日、北海道へ発ちます。

同窓会と言ったのは嘘です。
あのひとに会いに。

ぼくがついた嘘を、信じてくれるあなたの優しさ。
尋ねず、触れず、信じたフリをしてくれるあなたの優しさ。

フリというのは言いすぎかもしれない。
あなたはただぼくに騙されているのかもしれない。
だけど、たとえ同窓会だって、ひとりで北海道へ行きたいというぼくのわがままに、一切の咎めをなく許容してくれるあなたの態度は、優しさ以外の何物でもありません。

あなたの優しさに甘え、ぼくは北海道へ発ちます。

じつは、手紙を書かなかったこの1カ月に、ぼくのなかでは、今の状況についての考えにすこし変化がありました。

このままでもいいのかもしれないーー
という思い。

今の暮らしが、何より幸せと呼べるのではないか。
もしかして、もしかして。

その考えを連れてきた媒介者は、ぼくたちの間にいる、小さなわが子です。
ぼくは以前、
「子どもでつながれる関係であってよいのか」
と書きました。

しかし、本当はそうではなく、子どもはただ気付かせてくれただけなのではないか。
ぼくとあなたの本当の関係に、目を向けさせてくれたのではないか。
そんなふうに思い始めているのです。

以前なら、あのひとに会いに、
自分の欲望を満たすためにあのひとに会いに、
北海道へ行くのであったと思います。

今も、それがないではありません。
いや、かなりの割合で、その思いもあります。

でも、そこに強く割り込んで来たぼくの目的は、
ぼくの感情の真実をたしかめにいくこと
です。

会わないと進まない話だったのです、最初から。
そして、会えば終わる話でもあるかもしれません。

きっと、会えば終わる。
この1年繰り返してきた、ぼくの感情と思考のらせん階段。

去年の11月、あのひとに電話をし、ぼくの心が大きく動きました。
そうだ、電話をかけたのも、自分の意思でだったじゃないか。
今度も、ぼくはあなたをすこしだけ裏切って、自分の意思で次の行動を踏み出します。

去年の11月の電話。
あのときからもう1年が経ちました。
1年で出すはずだった結論を、ぼくはひとりでは出せませんでした。

北海道で、答えはつかめるだろうか。

不安のなか、ぼくは明日、北海道へ発ちます。