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愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

38通目、あのひとの手紙と1.5

妻へ

あのひとから久しぶりに手紙が来ました。
いつものような他愛のないような、なんでもない手紙。
わざわざ手紙をくれたから、何かあったかと思ってしまった。
だんなとうまくいかない、あなたといればよかった。
もしそんな内容だったら、ぼくは真っ赤な顔で無言になったでしょう。

ほんとうになんでもない内容で、だからそれをわざわざ手紙で送ってくれるというのが、ほんとうにいつものぼくたちの間柄らしいもので、小さな落胆とともにぼくは胸を熱くしました。

郵便受けから手紙を受け取ったあなたがぼくにそれを渡してくれました。
ぼくはわざとあなたの前で封を開けそれを読みました。
嫉妬させようなんて狡い魂胆はありません。
あなたのいないところで読むような自分は、手紙の中に何かを期待していることがあからさまなように思ったからです。




なんにもありません。

ぼくとあのひとの間には。

なぜかわかりますか?

あるふたりの間柄に何かが起こるには、

片方が想っているだけでは

足りないからです。




ぼくは、普通のひとが得る「1」を得損ねました。

ぼくが得うるのは、「0」か「1.5」なのです。

そのことを強く認識せざるを得ない、「ただの手紙」でした。