愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

37通目、立ち返る場所

神戸に行ったときに、ぼくはあのひとへのお土産をこっそり買いました。
別に後ろめたいことなど何もないので、堂々と買えばいいのに、ぼくはなぜかお土産を買ったことをあなたに言えないでいたのでした。
それはつまり、後ろめたい出来事はなくても、後ろめたい内心はある、ということにほかなりません。

買ったものを送るために、適当なサイズの箱を買い、聞いてほしい音源をCDに焼き、ちょっとした手紙を書いて、箱に入れてみるとスペースが余ったから敷き詰めるための駄菓子を買い…

としていると、ふと気持ちが高校生の頃に戻るのを感じました。あのひとともっとも密にやり取りをしていた頃。

ぼくにとって高校時代というのは、ほかの多くの人にとってそうであるように、人生で最も熱く甘酸っぱい青春の季節でした。

あのひととのやり取りは、そのときをぼくに思い出させます。

あなたと出会ったのは、大学生活の中頃。
あなたと付き合い始めたのは、大学生活の終わり頃。
あなたをトリガーとして思い出す過去は、過去というよりも今と地続きになっている一昨年、という印象なのです。
もちろんぼくが大学生だったのは、実際には10年も前のことですが…。

ぼくにとってあのひとは、青春そのものではないけれど、青春のトリガーであるのです。

あのひとへ贈り物を送るちょっとした手間のなかに、面倒臭さよりも懐かしさを、ぼくは感じておりました。