愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

31通目、10年の感慨がもたらすもの。

ぼくとあなたが交際を始めてから、もうすぐで10年が経ちます。
わざわざ数えていたわけではないけれど、ふとそのことに気付くと感慨深いものがあります。

10年間とは、長い月日です。
たくさんのことがありましたね。
たくさんの言葉を交わし、手をつなぎ、心をつなぎ、分かち合い、今日まで来ましたね。
楽しかった。あなたと過ごして。

しかしぼくは、本当に大切なことを分かち合って来たのか、わからなくなることがあります。

友が死んだあの日、ぼくは胸のうちをあなたに告げることができなかった。
だらしなく垂れ流されるはずの感情を、あなたに聞いてもらうことができなかった。
その出来事に象徴されるぼくの勇気のなさは、もう少し細かい出来事についてではあるにしろ、他の様々なシーンにおいても発生してきたのではないかと思うのです。

ぼくはあなたの献身に、応えられるだけの全力をもってあなたに接して来たのだろうか。

あなたと最近セックスをしていない。積極的にしたい気持ちにもならない。肉体の距離を、精神のそれと結びつけてしまうのは、あまりに短絡が過ぎるものかもしれないけれど、

ぼくは、あなたが待ってくれている気がするのです。ぼくが胸の裡を、もっと正直にもっと弱々しく、あなたに告白するのを。
それを、今はする気になれない。これからなろうという気にもなれない。

10周年を前にして、お互いの大切さが足踏みをしている、そんなようにも感じるのです。