愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

28通目、囁きについて

妻へ

お互いに、甘美と苛立ちを往復しているという気がします。

子どもが寝たあとに、白い色の入浴剤を入れレモングラスの香りに包まれて、ふたりで湯船に浸かるのは、恋人時代のような甘い心地良さがあります。そんなとき、ぼくはほかのものを手にする必要のなさを感じます。
一方、あなたの声にやどるとげとげしさに、あの甘やかな時間は錯覚だったのかと思うこともあります。おそらく、あなたもそうなのでしょう。

そして、平均するとぼくの中におけるあのひとの重要性は今も変わることがなく、そんなに大切に思えるひとを選ばなかった自分の愚かしさに苛立つ日々です。

そんなことなら、とっとと決断してしまえばいい。そう囁くぼくのなかのぼくがいて、その声がぼくの耳に届いてくるとき、ぼくはなぜぼくがあなたとのために入浴剤やマッサージオイルを買って帰るのかを自らに問うのです。