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愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

20通目、こころについて

妻へ

こころだけはどうにもならないなあ。

ということにして、ぼくは言い逃れをしたいだけなのです。こころをあたかも他者であるかのように言うことで、自分のコントロール外のところに原因があることを示したいのです。つまりは、「俺のせいじゃないんだ、こころのせいなんだ」ということを言いたいのです。

責任を取るべきだ、とかっこつけたことを言いながら、本音のところでぼくは、何らかの責めを負うことを恐れていたのです。

そうであるべきではないのです。
ぼくのこころも、ぼくのものです。ぼくのこころがどのように動こうとも、それが頭の意図するものと違ったとしても、それはぼくに原因があるのです。

ぼくのこころがあなた以外を恋うのだとしたら、それは「ぼくそのもの」がそのひとを恋いたくて恋うているのです。

この後もぼくがそのひとを恋い続けるのだとしたら、それはぼくそのものが、ぼくのこころにそう命じているのです。

ソクラテスが聞いたら、ぼくのこの議論を何と言うだろうか。
あるいは、池田晶子さんなら。

はたして、これから長い後、ぼくそのものが求めるものは、あなただろうか。
それとも、あのひとだろうか。

それが、簡単にわかれば、誰も苦労はしない。
だれも、不幸にならない。