愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

16通目20141225家族について

妻へ

昨日、あなたのおばあさんが亡くなりました。認知症で施設に入ってもう長く、最近体調を崩して医者からは「もう長くない」と言われていたので、覚悟はできていたのかもしれません。ともすれば、ほっとした気持ちすらないではないかもしれない。それくらい、認知症、大変でしたね。話を聞くだけでも、つらそうでした。

付き合いはじめの頃は、おばあちゃんに買ってもらった服などをよく見せてくれていましたね。付き合ってすぐの頃、あなたたちの家族4人でヨーロッパに行ったことをよく覚えてます。

仲の良い家族でしたね。

あなたが心底大切にするのは、あなたの家族であり、あなたの家族の結束は、他よりも強いとぼくは思いました。

そこがぼくのあなたに対して尊敬するところであり、ぼくとあなたの相違点でもあります。

ぼくのいちばん大切なものは、ずっと家族ではありえませんでした。高校生くらいの頃から、ぼくを精神面で支えたものは、仲間であり、あのひとからの手紙でした。そしていつのときも、欲したものは意思の自由でした。
ふつうは、子どもが生まれるとその価値観は変わるのでしょうか。怖いくらいに、ぼくの価値観は変わらないのです。自分でも驚いています。
無論、ぼくにとって、我が子はかけがえのないものです。命に代えることができるものです。ぼくの生きる理由であり、目的であり、手段でもあります。しかし不思議なことに、あなたやあなたとの間に眠る子どものために、ぼくはぼくの自由を捨ててもいいとは思えないのです。自由とは、ぼくにとって命よりも大切なものなのかもしれません。

解放されることよりも規定されることを望み、得ることよりも守ることを望む、あなた。
それとは逆のぼく。

恋人のときにはパズルのピースのようにかっちりハマっているように感じた価値観のでこぼこは、いまぶつかり合い、いびつな形のまま、無理に枠に入ろうとしているように感じます。

価値観は、長い生活のなかで、噛み合わなくなるものなのでしょうか。

少し間が空いて、葬儀になります。
しっかり見送りましょう。
おばあちゃんがいなかったら、今のあなたはいませんでした。
あなたのようなひとをぼくに出会わせてくれたことに感謝して、葬儀に出向こうと思います。