愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

最初の手紙20141125

妻へ

なぜこんな手紙を書き始めることにしたのか。
それを伝えるには、とても多くのことに耐えねばなりません。

今まであなたを騙して来てしまったのは、あなたのことが好きで、とても愛していて、傷つく姿を見たくなかったからです。

ぼくはあなたのことを幸せにしたいと、本当に思っていました。
今も思っています。

でも、ぼくのこの考え方が、時が過ぎるのを待てば待つほど、あなたを傷つけるものだと、わかってきてしまいました。

ぼくの心のなかに、もうひとりの女性がいます。

その人の名を、言わなくてもあなたはわかるかもしれない。

ずっとぼくの中にいて、ぼくを支え続けてくれた女性を、ぼくはずっと友人としてだけ扱おうとしてきました。

親友であると何度も何度も連呼することで、自分を納得させようとしてきました。

もう10年以上前から、ぼくはぼくの中にある好意に気付いていたと思います。気付いていたから、目を背けようと、彼女を親友呼ばわりしてきたのです。たぶんそうだったのだと思います。

ずっと目を背け続けてきました。
あなたを傷つけたくなかった。
言い訳に聞こえると思うけど、ぼくは本当にあなたのことが好きでした。愛していました。
だから、傷つけたくなかった。
言い訳に聞こえてもいい。
そこに嘘偽りのないことだけは誓うことができます。

しかし、自分自身も傷つきたくなかったということがもうひとつの真実でもあります。

その真意は、あまりにも幼稚なのでここには書けません。それほど子どもじみた精神のまま、ぼくはその女性に惹かれていました。

あなたと結婚するときにすら、わずかな迷いはあったと思います。だけど、これも言い訳に聞こえると思いますが、そのとき同時的に気づけるほどその違和感は大きくなかったのです。振り返ってみてやっとわかるくらいに、それは小さなつかえでした。

結婚するときには、いい意味で、勢いもありました。あなたと結婚できる。好きな人と幸せな家庭をつくる。父親のいない家庭に育ったあなたに、父親のいる家庭の景色を見せる。
そんな意気込みが、ぼくにはありました。
未来に向けての幸福なモチベーションをたたえて、ぼくは全力であなたのことが好きでした。
繰り返しになりますが、そこに嘘はありませんでした。

本当です。

だからわずかな胸のつかえに、無自覚でいられたのだと思います。
そのつかえは、あなたと付き合い始める前からあって、ずっとあって、ほかのどの女の子を好きでいたときにも、常にあったものだと思います。常態化し、慢性化して、症状を感じ取れなくなっていたのかもしれません。

結婚生活が続くなかで、しかし呼吸の苦しさを感じるように少しずつなっていきました。
これは決してあなたとの暮らしが窮屈であったと言いたいのではありません。
たしかに、几帳面なあなたと、大雑把なぼくとで、お互いにいらいらすることはありました。ぼくの雑さがあなたを苛立たせることのほうが、明らかに多かったですね。
だけど、それをもとに別れたいと思うような、致命的な感情を抱くことは、ぼくには起こりませんでした。
いらいらしたり、ときに疎ましくさえ思うことがあっても、やはりあなたはぼくにとって愛おしい存在でした。一緒に住んでもう長く、どれだけぼくのことを考えて日々振舞ってくれているかも、痛いほどわかっていました。
ぼくの奔放を、素直に言えば身勝手さを、あなたは受容しようと努力してくれました。たくさんのガマンをしてくれたと思います。

じゃあ、ぼくの呼吸の苦しさは何だったのか。
その女性が、ぼくにとって酸素に近い存在に、すでになっていたということだと思います。
ぼくにとって大切なことを、あなたへよりも早く伝えたいと思うことがありました。そのときにぼくは、ぼくがどれだけその女性を信頼しているかを自覚しました。

ぼくの呼吸は少しずつ、苦しさを増していきました。
ぼくなりに、それを忘れる努力はしたつもりです。
あなたと結婚してから、ほとんど連絡は取らなかったし、精神的な依存は全くなかったはずです。SNSなどでの交流もありませんでした。今でも、LINEやフェイスブックのidはお互いに知りません。

だけれども、どうしてもその女性への感情が消えなかった。
いまぼくは、娘を腕に抱いてこの手紙を書いています。夜中に起きてしまってなかなか寝ない。ときどきびくんとしています。まだベッドへは連れていけなさそうです。
この子があなたのお腹に宿る少し前くらいから、ぼくはその女性への好意を明確に自覚していました。

妻へ。ごめんなさい。
ずっと、ぼくのなかにはふたりの女性がいました。
あなたと、もうひとりと。

あなたはこれからもたぶん、気付かないでいてくれる。気付かないふりをして、ぼくを包容してくれる。そういう、優しいひとだから、ぼくはあなたを選んだのだと思う。

しかし、自分のなかで、心にふたりの女性がいることが、大変に苦しいことになってきています。

ここまで語っておいて今更ですが、ぼくはその女性と小学校6年生以来恋愛関係になったことはありません。もちろん肉体的な接触もありません。キスも、手をつないだことすらも、ありません。同じ部屋でふたりきりで泊まったことさえあるのに、です。

でも、そのひとへの思いが、消えなかった。
好意という言葉ではぬるいように思える感情が、ずっとぼくの胸の内に渦巻いていました。

一方、あなたと、うでの中のこの子を、もっと幸せにしたいという気持ちも、大きくなっていました。そして何より、自分で選んであなたと結婚し、自分で選んで産んだこの子に対し、当然の責任を果たさないといけないと思ってもいました。

ぼくはある決意をしました。

ぼくはぼくの許容量で愛することができるひとだけ、を愛する。

そしてそれはあなたたちであるべきで、あなたたちだけにしたいと本当に思っていて、だから、

ぼくはあなたたちだけを愛する努力を、全力でする。

もしそれでもその女性がぼくの心の中から消えなかったら、

ぼくはあなたたちから離れようと思います。

別にそのひとと、一緒になれる目算があるわけではありません。

いやむしろ、可能性はゼロです。

ただ、心の中にふたりを置くことだけはやめたいと、思っているということです。

もしぼくが、ぼく自身をあなたたちふたりから離す決断をしたとしたら、この手紙をあなたに読んでもらおうと思います。

これから、あなたへの愛情を綴っていきたいと思います。
できるだけ、毎日書きます。

妻へ。
愛しています。
あなたを幸せにしたい。
ほんとうです。

またね。