愛する妻への手紙

最初の手紙から読んでください。http://familin2006.hatenadiary.jp/entry/2014/11/25/093359

47通目、あの日電話にて3

妻へずいぶん間が空きました。前回手紙を書いてから今日までの間に、僕にはあのひとからの手紙が届き、あなたの気を悪くした無表情を見ることになりました。気のせいだろうか。それならそれでよいのだけれど。僕があのひとに想いを伝えたあの日、僕が聞いた…

46通目、あの日電話にて2

金曜日の夕方、ぼくはかのじょに電話をしました。あらかじめメールで予約をとって、相手の仕事の都合のよいタイミングを見計らって。あなたにプロポーズしたときと同じくらい、緊張していました。もしかしたら、人生でいちばんというくらい。ぼくが話した内…

45通目、あの日、電話にて

妻へあまり、観念的な話ばかりをしていてももやもやするだけでしょう。今日は、この手紙を書くことになった、そしてぼくの迷いが顕在化することになった、一本の電話について告白します。最初の手紙からずっと書いてきているように、ぼくの惑いは、あなたと…

44通目、我が子と暮らす

妻へ部署が異動になって、2ヶ月半が経ちます。ぼくは知っての通り、営業が好きで、そしてそれ以上に現場が好きでした。が、これまでの活動が認められて広告宣伝の部に入ることになったのには、やはり認められた嬉しさもありました。異動後の生活は一変しまし…

43通目、あの頃の未来に僕らは立って

スマップの夜空ノムコウの歌詞。「あの頃の未来に僕らは立っているのかなぁ」に、中学生の頃いたく感心した覚えがあります。まだ振り返る過去もないような年齢のぼくにも、その言葉が持つ郷愁の音色は感じ取ることができました。今ぼくがあなたと過ごしてい…

42通目、ふたつの緊張感

同じチームだった女の子とご飯を食べて来ました。女性とふたりでご飯を食べるのは、まあまあ久しぶりのように思います。仕事の話もそこそこに、結婚や恋愛の話に至りました。(そういう話のほうが盛り上がるよね)長く付き合っているカレシがいて、そのノロケ…

41通目、謝意

妻へたまにはこの手紙の本義に立ち返ろうかと思います。毎日お弁当の用意、ありがとう。助かるし美味しいです。掃除洗濯、ありがとう。大量の洗濯物、きちんと畳んでしまってくれてるの、感謝してます。晩御飯の支度、ありがとう。家に帰るのが楽しみです。…

40通目、切なくつらく甘い

妻へ正直に告白して、先日の日曜日に横浜へ遊びに行ったときに、ぼくの心が呼ぶのは四六時中あのひとの名でした。ぼくにとって切なくつらく、甘い響きをもったその名を、最近は申し訳なさをもって想うようになりました。それは無論、あなたとその間の子への…

39通目、イニシエーションラブ

妻へぼくたちはなぜだか、あまりセックスをしなくなっています。すべてのセックスにおいて、男性から誘わなくてはならないという世の風情を、ぼくはなんとなく否定したい気持ちです。男性だってたまには欲しがられたいのです。昨日、あなたは、「以前は会え…

38通目、あのひとの手紙と1.5

妻へあのひとから久しぶりに手紙が来ました。いつものような他愛のないような、なんでもない手紙。わざわざ手紙をくれたから、何かあったかと思ってしまった。だんなとうまくいかない、あなたといればよかった。もしそんな内容だったら、ぼくは真っ赤な顔で…

37通目、立ち返る場所

神戸に行ったときに、ぼくはあのひとへのお土産をこっそり買いました。別に後ろめたいことなど何もないので、堂々と買えばいいのに、ぼくはなぜかお土産を買ったことをあなたに言えないでいたのでした。それはつまり、後ろめたい出来事はなくても、後ろめた…

1通目、習慣

こういう泣きたいときに、あなたに会いたくなります。誰よりも。32歳なのに。

36通目、傷みの選択

妻へゴールデンウイーク、楽しかったですね。ぼくが何度か訪れたことのある神戸が、今回の行き先でした。神戸には2度の思い出があります。ひとつめは、まさにあのひとと。神戸の大学に通っていたあのひとのもとへ、たしか2泊くらいの小旅行。大阪にいる、あ…

35通目、10年の時を経て

妻へ先日、ぼくとあなたが交際を始めてから10年が経ちました。その日を、ぼくは一応覚えていたようでした。ケーキと花とプレゼントを買いました。そんな準備をしながら、あなたの喜ぶ顔を思い、ひとりにやにやしていたのも事実です。予想通りにあなたが嬉し…

34通目、苛立ちに導かれる。

あなたの苛立ちに、ぼくが苛立ちを返す。明確に言葉になっているわけではないけれど、お互いの苛立ちがお互いの苛立ちのもと起こっていると、自分の苛立ちが相手の苛立ちを喚起していると、それぞれが気付いている。そんななか、日々をすごしていく。間も無…

33通目、移ろうもの。

先日、ひょんなことで、年下の女の子とお酒を飲む機会がありました。その子は知的で明るく、話はとてもはずみました。ぼくは彼女に惹かれましたが、言葉の端々に、相手がぼくに惹かれていることも読み取れました。好きなお酒が一致したこともあり、とても楽…

32通目、あなたに嫌われる勇気

妻へ今日はきっと楽しみにしていたお花見をできなくてごめんなさい。3月は目眩がするほど忙しい。この仕事に忙しくないときなどないのだけれど、特に3月は忙しい。それで、どうしても休みたくなってしまって今日のお花見はキャンセルさせてもらいました。疲…

31通目、10年の感慨がもたらすもの。

ぼくとあなたが交際を始めてから、もうすぐで10年が経ちます。わざわざ数えていたわけではないけれど、ふとそのことに気付くと感慨深いものがあります。10年間とは、長い月日です。たくさんのことがありましたね。たくさんの言葉を交わし、手をつなぎ、心を…

30通目、あなたを呼ぶ声は風にさらわれて。

何度もあのひとの名前を、心のなかで呼んでしまいます。何がぼくをここにつなぎとめているかと言えば、いちばんにぼくとあなたの子どもです。ぼくのことを「とうと」と呼んで、だっこを要求してくるその子には、あまりに罪が無さ過ぎます。この子を片親にし…

29通目、ぼくの肉筆と君の肉声

妻へふとしたことでぼくが書いた手紙を、あなたは喜んでくれました。それはたぶんほんとうにそうだったと思いたい。やはり、やはり、肉筆が纏うニュアンスは、コミュニケーションの効率を高めるという気がします。よりスムーズに、より正確に、人の気持ちを…

28通目、囁きについて

妻へお互いに、甘美と苛立ちを往復しているという気がします。子どもが寝たあとに、白い色の入浴剤を入れレモングラスの香りに包まれて、ふたりで湯船に浸かるのは、恋人時代のような甘い心地良さがあります。そんなとき、ぼくはほかのものを手にする必要の…

27通目、文法について

「ぼく」はだいめいしです。「は」はじょしです。そうして、「ぼくは」はしゅごになります。ぼくは。ぼくは。ぼくは。そのあとに、どんなじゅつごがつづいても、 「あなた」がもくてきごであるかぎり、それはきっと、あいのしょうさ。たとえじゅつごが、「き…

26通目、緊張について

妻へぼくの本棚に、内田樹の著作がいくつか並んでいることをあなたは知らないでしょう。ニュースはよく見るけれど言説には関心の薄いあなた。逆のぼく。ぼくたちの性格が、違う点のひとつです。敬愛する内田樹が、愛について鋭いことを言っていました。ある…

25通目、愛し方について

嘘をついていることを正直に話すことが正しいか嘘を貫くことが正しいかあなたならどちらを望みますか。ぼくは体の嘘ならいくらでも貫けますがこころの嘘はいかんともしがたいと感じています。あなたに聞いてはいけない。これはぼくの問題なのですから。

24通目、音楽について

妻へback numberをすっかり気に入ってしまって、2日間聴き漬けて、ホームページやwikiなども見てしまいました。世田谷ラブストーリーはとてもいい曲ですが、映画監督の行定勲も好きだったようで、この曲をもとに短編映画を制作したとのことです。それを知っ…

23通目、休日について

妻へやっと週末が来ました。最近あまり連勤はしていませんが、今週は深夜作業が多く、帰れない日が続きました。特に好きな業務を任せてもらえたので、精神的な疲れは全くありませんが、家のベッドで寝られないのはやはりしんどいと感じました。子どもの面倒…

22通目、粘膜について

「女はね、粘膜で男を値踏みしてるの。何度も、何度も。」午前3時の無法地帯より。昨日、ぼくはあなたに接触をはかってみました。あなたは軽くそれを拒みました。それほど欲情していたわけではないのに、ぼくはしつこくあなたに触れました。あなたをその気に…

21通目、声について

遠く離れても、遠い過去のことであっても、声というのはなかなか忘れないものです。声には、それだけ記憶に強く染み入り、感情を喚起する、不思議な力があると思います。今日、仕事の終わりに電話したときのあなたの、疲れたような苛立ったような声。それが…

20通目、こころについて

妻へこころだけはどうにもならないなあ。ということにして、ぼくは言い逃れをしたいだけなのです。こころをあたかも他者であるかのように言うことで、自分のコントロール外のところに原因があることを示したいのです。つまりは、「俺のせいじゃないんだ、こ…

19通目、仕事について

妻へ今日、仕事でとてもいいことがありました。ぼくがつくったチラシが、昨年くらいから東京全体で使われていたことは話していたと思います。今度はそれが、全国で使われることに、経営会議で決まったそうです。経営会議です。各事業部の部長や役員が、ぼく…